西洋家具を作る
西洋家具の簡単な歴史
20代後半のヨーロッパ旅行は40日でイギリス、オランダ、スイス、ドイツ、フランスを廻るバックパックの旅だった。
今から30年前、多分今よりずっとそれぞれの国には違いが有った。
それまで、西洋の人はだいたい同じに見えていたが、2ヶ月の間に、イギリス人とフランス人のあまりの違いに驚いたし、ドイツ人はまた全然ちがうじゃないかと目を丸くした。
家具に付いても、同じくで、イギリスの家具とフランスの家具がその国民性を反映してとても違うんだと感覚で納得。
だけど、それぞれの国はとても近い。なにしろ40日で5カ国も廻れてしまう程。家具の歴史もすごくクロスしていて面白い。
1500年頃〜1900年代 モダン以前の主な西洋家具の様式
●チューダー(イギリス)
●バロック(フランス)
●クイーンアン(イギリス)
●コロニアル(アメリカ)
●ジョージアン(イギリス)
●フィージェンシー(イギリス)
●シェーカー(アメリカ)
●ビーダーマイヤー(ドイツ)
●アンピール(フランス)
●ヴィクトリアン(イギリス)
●アールヌーボー(フランス)
●アールデコ(フランス)
●バウハウス(ドイツ)
ざっと説明すると、貴族趣味的な装飾の有る家具からだんだん普及型になっていく。
その間に完成度の高い形状が生み出され現代にも残る。
世界大戦の前頃から機能美を追求したバウハウスのようなデザインが誕生する。
特に第二次世界大戦後は大量生産型の家具が一般的になる。
※ちなみに個人的にはクラシックな建築の中にモダンな物やちょっと変わった物を置いて少し外す感じが好き。その逆も有って、シンプルな部屋に(日本ではこちらが多い)デコラティブな家具を置いたり色使いで楽しくしたりするのが好き。
ガーデニング
インテリア小物
参考書
それぞれの様式は確立されていて古いスタイルでも廃れた訳では無く、インテリアのスタイルとして現代にも受け継がれている。西洋ではインテリアを好みの時代のスタイルでまとめあげることも多く、家具も1点づつバラバラに購入するのでは無くその部屋をどのスタイルにするかを決めて家具も合わせて行くことが多い。勿論自由に組み合わせる事ができるとは思うけれど、例えば、部屋のモールディングやドアのタイプに至るまで時代を反映するスタイルが有るのでそのことを踏まえてインテリアを考えることもとても役に立つと思う。
スタイルを確立した作家達
僕が家具を作るにあたり影響を受けてきた作家達を紹介します。彼らの仕事は大量生産の真反対かもしれない。ちょっと時代に反しているけれど、繋いで行きたい。
●トーマス・チッペンデール(Thomas Chippendale、1718年6月5日 – 1779年11月13日) イギリスの家具職人、デザイナー。イングランド北西部ヨーク地方出身。
シノワズリー(中国の模様)とロココ様式を調和させたデザインが特徴。椅子の足に使われるボール&クロウ(鳥の足が丸い球体を掴んでいるデザイン)などは特徴的。
本を頼りにコピーしたチペンデールのキャビネット。扉のガラス部分の模様が中国スタイル、所謂シノワーズと呼ばれます。
そこに現代的な要素も少し入れたいと思い、
色ガラスを組み合わせました。
20年程前に職業訓練校で制作した椅子。
時間がたっぷり有り彫刻部分もコピー出来た。今はどこに有るのでしょう。
卒業制作だったためくじ引きでどなたか購入して下さったのですが・・。
●トーマス・シェラトン(Thomas Sheraton 1751-1806) イギリスの家具職人
●ヘッペルホワイト(George Hepplewhite 1727? – 1786) イギリスの家具職人
●ウイリアムモリス(William Morris 1834 - 1896) イギリスの家具職人
ウイリアムモリスはあまりにも有名。彼はテキスタイルをデザインし、今もその柄は健在。インテリアとして良く使うアイテムだ。しかし時々、モリスより前の時代のデコラティブな椅子にモリスの生地を張っている物を見かけて違和感を覚えるのは僕だけだろうか?モリス商会から発表された椅子はモリスの壁紙やカーテン生地と調和して抑えぎみのデザインだと思うのだけど・・。
ちなみにモリス商会の家具を担当したのはフィリップウエブ。そのデザインは素朴でありながら繊細で、日常生活でがんがん使っていけそうな骨太さも有る。どちらかというと庶民よりなイメージを持っている。(実際には結構凝っている)